ELYZAとは?日本語LLMの特徴やできること、使い方について
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Latest Update :
March 28, 2024
OpenAI社のChatGPTに始まり世界で大きな渦を巻き起こしている生成AIですが、日本国内も例外ではなく多くの企業が生成AIに力を入れようとしています。
そのような状況の中で、本記事では日本語版LLMとして注目を集めている「ELYZA」について、概要や特徴などをご紹介します。
日本語LLM「ELYZA」とは
ELYZAとは、生成AIのモデル・ツールの名称で、東京大学発のスタートアップ企業の名称でもあります。
ELYZA(企業)はAI研究のパイオニアとしても知られる松尾豊教授の松尾研究室から派生したということもあり、AIに関連したスタートアップ企業の中でも注目されている1社です。
直近では、大手通信会社のKDDIグループの傘下に加わるニュースも報じられるなど、より潤沢なリソースを得た上でのさらなる成長が見込まれています。
LLMとしてのELYZAについては、日本語をベースとしたLLMなので特に日本人にとってより扱いやすく、自然な会話が可能であるということが一つの特徴として挙げられます。
LLM(Large Language Model)とは?
LLMとは大規模言語モデル(Large Language Model)の頭文字を指しており、生成AIの仕組みそのもののことを指します。
文字通り大規模なテキストデータをもとに、生成AIの頭脳を構築した仕組みであり、おなじみのChatGPTにも活用されています。
日本語LLMの先駆者としても知られるELYZAですが、実はこれまでにも幾度もバージョンアップを重ねてきているので、その一部を紹介します。
日本語LLM「ELYZA」のこれまでの提供モデル一覧
直近では、グローバルモデルに匹敵する700億のパラメータモデル「ELYZA-japanese-Llama-2-70b」をリリースされていますが、以前にも以下のようなモデルをリリースしています。
・ELYZA-japanese-Llama-2-13b
・ELYZA-japanese-Llama-2-13b-instruct
・ELYZA-japanese-Llama-2-13b-fast / ELYZA-japanese-Llama-2-13b-fast-instruct
ここで、最新のモデルである「ELYZA-japanese-Llama-2-70b」とChatGPTとの性能について比較してみましょう。
日本語LLM「ELYZA」と、OpenAI社が提供する「ChatGPT」との比較
世界でも有数の生成AIであるOpenAI社のChatGPTとELYZAの性能について比較してみたいと思います(2024年3月時点)。
基本UI
まず、基本的なUIについて見ていきましょう。
ELYZAは日本企業、OpenAIは外資の企業というだだけあって、基本的なUIはそれぞれ日本語と英語で分かれています。
ELYZA
GPT
ただ、GPTも日本語でのテキスト(≒プロンプト入力)にも対応しておりますので、基本的な操作さえ慣れてしまえばそこまで大きな差はなさそうです。
パラメータ数
次にパラメータ数です。
パラメータ数とは、AIモデルの規模を表す指標でありOpenAI社の発表した論文によると、AIの性能に直結する指標の一つであるとされています。
・ELYZA:700億
・GPT:最大2,000億
現状は開きがある状態にはなりますが、これから徐々にELYZAもパラメータ数については増やしていくものと思われるので、中長期的に考えると差は少しずつ縮まっていくのではないかと思います。
マルチモーダル性
最後に、マルチモーダル性です。
マルチモーダル性とは、AIのモデルがどれだけの種類のデータを取り扱うことができるのかといった守備範囲の広さを表します。
・ELYZA:テキストのみ
・GPT:テキスト+画像データ+音声データ(有償プラン含む)
こうしてみると、GPTの方が高性能なAIモデルであるというのが現状の比較結果から推察できます。
しかし、ベースとなる言語が日本語と英語というそもそもの違いもありますので、今後は「日本人にとっての使いやすさ」という点では、ELYZAに軍配が上がるかと思います。
日本語LLM「ELYZA」ができること
ChatGPTで慣れている方もいらっしゃると思いますが、ELYZAでできることについて3つほど例を紹介します。
テキストによる日常会話
まず1つ目は、テキストによる日常会話です。
画像のように、一問一答形式ではなくそこから深堀りした会話もすることができます。
ただ、AIの学習に使用されているデータは基本的に過去のもので、リアルタイムでの質問(例:今日の東京の天気を教えて)には答えられませんので、その点はご注意ください。
異言語の翻訳
2つ目は、異言語の翻訳です。
よくある英語↔日本語の変換もできますし、その他の言語間での翻訳もできます。
諸条件を入力することによる相談
3つ目は、諸条件を入力することによる相談です。
今回は渋谷駅の近辺でカフェを経営する経営者になりきって、次のように相談してみました。
すると、ELYZAから次のような回答が返ってきました。
この画像からは見切れてしまっていますが、合計で5つの戦略と具体的な施策について打ち出してくれました。
打ち出したものについて、更に深堀りするような質問を重ねることで、ELYZAとディスカッションも可能ですし、簡単な相談についてはAIが回答してくれる時代になると感じました。
このように、簡単な会話などから難しい議題に至るまで幅広い活用が見込めるELYZAですが、逆に不得意なことについても見ていきましょう。
日本語LLM「ELYZA」が不得意なこと
本記事では3つほど紹介していきます。
細かな感情のニュアンスまで含めたコミュニケーション
まず1つ目は、細かなニュアンスまで含めたコミュニケーションです。
これはELYZAに限った話ではないのですが、生成AIは基本的にインプットされた情報に基づいて、回答内容を推測し、「答え」としてアウトプットしています。
なので、よくある「察してほしい」「言わなくてもわかるでしょ?」ということは、認識できない可能性が非常に高いです。
※あくまでも、現状(2024年3月時点)ではということなので、ひょっとすると将来的にはそれすらもできているかもしれません。
そういった自身の感情も踏まえて相談したいという場合には、その内容も言語化してテキストとしてAIに伝えましょう。
そうすると、何か解決のヒントになるものが得られるかもしれません。
最新情報に基づいた処理
2つ目は、最新情報に基づいた処理です。
先ほど例には出しましたが、AIの学習に用いられているデータは過去時点のものなので、例えば「今日の天気は?」と聞いてもこちらが欲しい回答は返ってきません。
専門領域に特化したノウハウや知識を要する処理
3つ目は、専門領域に特化したノウハウや知識を要する処理です。
わかりやすい例えだと、以下のような医療関連とかはイメージしやすいかと思います。
画像下部のところで、状況説明をした上で何がベストか?をELYZAに質問していますが、ほぼ同じ回答が返ってきました。
これだけでも十分な情報量ではありますが、重要なことはこの選択肢からどれをもっともらしい選択として意思決定し、行動を起こすかです。
そうした意思決定をする際には経験則やノウハウなどが必須のため、現状のAIでは未だそこまでは踏み込むことができません。
とはいえ、選択肢を列挙したり論理的に考えることに対して強みを持つのが生成AIであり、特にELYZAは日本語をベースとして扱いやすい特徴を有しているので、活用余地が幅広いことには変わりはありません。
さて、ここまでで概要としては一区切りついたので、簡単に使い方について説明します。
日本語LLM「ELYZA」の使い方
わずか3STEPで使えますので、簡単に記載します。
【STEP1】「ELYZA for JP」と検索
まずは、普段お使いの検索サイトで「ELYZA for JP」と入れて検索してみてください。
【STEP2] ELYZA for JP(デモ版)をクリック
すると、画像のような検索結果のURLが出てくると思いますので、そちらをクリックしてください。
【STEP3】テキスト情報を入力
クリックすると、以下のような画面が表示されますので最下部の「AIアシスタントに依頼」というところにテキストを打ち込むだけで使えます。
回数上限なども現状はないので、ぜひ色々と試してみてください。
日本語LLM「ELYZA」を使う上で注意したい点
最後に、ELYZAを使う上で注意したい点を3つお伝えします。
必ずしも正しい情報が得られるとは限らない
1つ目は、必ずしも正しい情報が得られるとは限らないことです。
何度か記載しているように、ELYZAが回答可能なものについては学習したデータがもとになっているので、情報の鮮度が問われるものや、マニアックな質問には答えられなかったり、誤った答えが返ってくることがあります。
なので、すべてを鵜呑みにしないということに加えて、単純に知らない情報を知りたいときには検索サイトを活用するなどの使い分けをすることをおすすめします。
有効活用するためには質問力・言語化能力が問われる
2つ目は、有効活用するためには質問力・言語化能力が問われる点です。
こちらも先述した内容と重複しますが、未だAI(ELYZA含む)は細かなニュアンスや感情的なものを汲み取ることが不得意です。
なので「自身が欲しい回答を得るためには、どういったデータをELYZAに伝えるべきか?」に基づいて、必要な情報を与えることが必須です。
最初は慣れの観点も含めてゲーム感覚でお使い頂いても良いと思いますが、業務利用を含めて本格的に活用していく際に、この点は常に念頭に置いておくことをおすすめします。
完全に「人」を代替することは未だ難しい
3つ目は、完全に「人」を代替することは未だ難しいことです。
前後の文脈について正しい情報を与えたり、感情的なニュアンスを汲み取るということが不得手ということもあり、完全に人を代替することは、現在の技術では実現が困難です。
逆をいえば、その点が人の介在価値とも言えると思いますので、今後のキャリアや働き方に対して、そうしたエモーショナルな観点というのは非常に重要になってくるのではないでしょうか。
まとめ
日本語LLM「ELYZA」について概要や簡単な使い方をご紹介しました。
本記事がELYZAを含めた生成AIの活用を進めていく上での一助になりましたら幸いです。