動画生成AIとは?活用するメリットや活用例、代表的なサービスについて

近年、生成AIのビジネスシーンへの応用やそれらを用いた新サービス創出が活発に行われており、皆さんの中でも生成AIツールを利用したことがある方がいるかもしれません。

特に動画制作における生成AIの活躍は飛躍的で、上手く活用したいと考えている人も多いのではないでしょうか。

本記事では、動画生成AIとは何か、その仕組みといった基本的なことから、具体的な活用事例や実際のサービスの使用感、活用する際の課題まで余すことなくまとめました。

動画生成AIとは?

動画生成AIとは、人間が入力した指示テキスト(プロンプト)に対して自動的に動画を生成するAIツールです。

動画生成AIでできること

具体的には以下のようなことが可能です。

・プロンプト(テキスト入力)から動画生成

・静止画を動画にすること

・動画を特定のスタイル(劇画風、アニメーション等)に加工

・VFX(特定の対象物の消し込みなどの加工)

このように、ただ動画を生成するだけでなく動画制作における細かい調整もできるようになります。

動画生成AIの活用事例

動画生成AIについて調べている皆さんの中には、すでにビジネスや趣味などの場で活用されているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。

実際にどのような場で活用されているのか、具体的な活用事例をご紹介します。

マーケティングコンテンツ作成

1つ目は、プロモーション動画などの各種マーケティングコンテンツの作成です。

静止画や文章と比較して動画は最も受信者が受け取る情報量が多く、近年では特にショート動画(ここでは15~60秒程度の動画を指します)が急激に普及しています。

消費者やユーザーに最も効率的にリーチできる動画コンテンツを、AIツールを使って簡単に生成できるのです。

例えば、スポーツの試合終了後に観客の歓声の大きさなどを測定・特に盛り上がった場面を抽出しダイジェスト動画を生成するなどのケースがあります。

このように他の技術と組み合わせた動画コンテンツ作成も進んでいます。

教材作成

2つ目は、教育現場における教材動画の作成です。

現在、国を挙げてデジタル社会の実現に向けてAIをはじめとしたデジタル技術活用やDX促進の取り組みが進められており、教育現場もその中のひとつです。

幅広い年代でスキルやリテラシー教育のための動画コンテンツが多数提供されており、これらにおいても動画生成AIが活用されています。

動画生成AIに関わる職種

動画生成AIがすでに様々な場面で活用されていることが分かりました。

では実際に動画生成AIを活用するのはどのような職種か。以下にてご紹介いたします。

AIエンジニア

1つ目はAIエンジニアです。

AIエンジニアはその名称の通り、AIに関する専門知識・それに特化した技術力を持ったエンジニアです。

近年AI技術の急速な発達に伴い国内のAIビジネスの市場規模も拡大しており、非常に市場価値が高まっている職種といえるでしょう。

プログラミングスキルや機械学習の知見がある人、またそれらがなくても数学や論理的思考が得意な人はぜひ挑戦してはいかがでしょうか。

プロジェクトマネージャー

2つ目はプロジェクトマネージャーです。

プロジェクトにおいて全体の進行管理を務める役割です。

予算や人員管理、進行管理や成果物の品質管理などすべての責任者であり、動画生成AIに限らず広く求められる職種です。

今後動画生成AIに関わるサービスやツール開発において必須の存在となるでしょう。

データサイエンティスト

3つ目はデータサイエンティストです。

データサイエンティストは、企業が蓄積する膨大なデータを分析し、事業戦略に活用していく仕事です。AIやビッグデータが活用される領域で広く求められています。

動画生成AIを活用するうえでも、優れたデータ分析能力や統計学の知識を活かし活躍できる職種です。

動画生成AIのメリット

効率的・高品質な動画制作

生成AIを活用することで、通常は数日~数週間かかるといわれている動画制作の時間を大幅に短縮することが可能です。

また動画制作においては大まかな構成だけでなく細かなニュアンスもあらかじめ決めておく必要がありますが、動画生成AIを使っていくつか動画を作って試行錯誤しながら内容を詰めていくことが可能です。

専門的な知識・スキルが不要

動画制作と言えば、近年ではYouTubeやTikTokなどの動画SNSの台頭により独力でスキルを身につける人や簡単に制作できるツール・アプリも多いですが、もともとは放送業界や広告業界の専売特許でした。それほど専門知識や専門機材・ツールを必要とする作業であるということです。

動画生成AIの台頭により、専門知識やスキルがなくても入力指示ひとつで誰でも動画が作れるようになったのです。

マーケティングのパーソナライズ対応が可能

これまでは動画制作は金銭的・時間的コストの関係で、ほとんどの企業では会社紹介や商材紹介などの全体に向けたコンテンツのみが用意されていました。

今後は動画生成AIを使って、例えば特定のセグメントに分けたターゲットユーザーごとに個別の動画コンテンツを用意するなどのパーソナライズ対応が可能となります。

動画生成AIのデメリット

前項では動画生成AIのメリットをご紹介しましたが、まだまだ未成熟な領域であるためデメリットも存在します。

その中でも特に知っておくべき代表的なデメリットを2つご紹介します。

細かい要件を指定できない

1つ目は、細かい要件を指定できないことです。

動画生成AIは人間が入力するプロンプトに対して細かいニュアンスなどを感じ取ることが難しく、動画の雰囲気を調整したり雰囲気に応じて特定のエフェクトを配置することができません。

そのため、まずは単調な説明動画や広告動画などからAI活用を検討していくのがよいでしょう。

動画が単調になる可能性がある

2つ目は、動画が単調になることです。

動画生成AIは学習したデータに基づいて生成するため、同じようなパターンや構成の動画を生成しやすいのです。

特に、特定の人がプロンプトを入力し続けているとその人が好むスタイルが強く反映されるため、伝えたいメッセージが異なっても同じような雰囲気の動画ばかりになってしまう可能性があります。

この場合視聴者が飽きやすくなり、満足度の低下やコンテンツからの離脱につながりかねません。

動画の品質を重視する場合や多種多様な動画を生成したい場合は、必要に応じて人の介入が必要になります。

動画生成AIおすすめサービス8選

次に、動画生成AIのおすすめサービスを8つご紹介します。

Runway

https://runwayml.com/

Runwayは、2018年に米国ニューヨークで生まれたAIスタートアップ企業であるRunway AI, Inc.が公開したサービスです。

2024年現在も活発に研究と開発を行っており、現時点では最新ツールとしてGen-2が公開されています。

機能として、テキストからの動画生成はもちろん細かい部分の選択も自動で行ってくれるため、初心者でもプロ並みの編集が可能です。有料プランも用意されていますが、現状は無料でも利用できます。

あわせて読む:動画生成AI『Runway』とは?特徴やできることをわかりやすく紹介!

Sora

https://openai.com/sora

Soraは、アメリカのOpenAI社が開発した動画生成AIサービスです。

テキストを打ち込むことで最大1分間のビデオを生成することができます。生成される動画のクオリティも高く、HP上で公開されている動画の例もかなり高品質で驚きました。

人、動物、キャラクター、風景、乗り物など様々なサンプル例が載っているので、HPを見ながら活用のイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。

Synthesia

https://www.synthesia.io/

Synthesiaは、2017年にUCL、Stanford、TUM、Cambridgeの研究者と起業家によって設立された同名の合成メディア企業が提供しているサービスです。

大きな特徴として、150以上の多種多様なAIアバター・動画テンプレート、130言語以上の多言語対応が挙げられます。

動画制作の手軽さとクオリティを両立した動画生成AIプラットフォームで、特に企業向けのプロモーションビデオや教育コンテンツに有用です。

利用するにあたって、現在では個人・企業問わず有料プランのみの提供となっています。

Pictory

https://pictory.ai/

Pictoryは、2020年に米国で提供が開始されたサービスです。

Pictoryの特徴は、生成した動画に自動でキャプションをつけられることです。自動翻訳機能を搭載しており、元の言語だけでなく多言語のキャプションにも対応可能です。

現在は3本まで無料で動画生成が可能です。

KaiBer

https://kaiber.ai/

KaiBerは、世界的に有名なロックバンド「Linkin Park」のミュージックビデオ”Fighting Myself ”全編の制作に用いられたツールとして話題を呼んだ動画生成AIツールです。

テキストや静止画からの動画生成だけでなく、映像から自動的にシーンを抽出・編集も可能で、映像制作の効率を向上させるための機能がそろっています。

また現在はスマートフォンアプリも公開されており、より手軽に動画制作が可能となっています。

GliaCloud

https://www.gliacloud.com/

GliaCloudは台湾のGliaCloud社が提供している、出来事の動画変換に特化したAI動画生成プラットフォームです。

ニュースやソーシャルメディアの投稿、スポーツのライブイベントなどのコンテンツを30秒から1分ほどの動画に変換することが可能です。

AI関連では珍しくサービスサイトに日本語版が用意されており、気軽に始めやすいツールの一つだと思われます。

InVideo

https://invideo.io/

InVideoは、米国サンフランシスコで創立したInVideo社が提供しているサービスです。

YouTubeを始めとしたSNSとの連携に強く、動画の目的やチャネルに応じた多彩なテンプレートが用意されている点が特徴です。

現在は週に10分まで、かつInVideo社の透かしロゴの入った動画生成が無料で可能です。

Lumen5

https://lumen5.com/

Lumen5は、カナダに籍を置くLumen5社が提供するサービスです。

Lumen5では、ブログ記事やテキストなどの素材から動画を自動で生成できます。

クリックやドロップなどの直感的に分かりやすい操作で、本格的な動画を作成することが可能です。

動画生成AIにおける課題・注意点

続いて、動画生成AIの課題や利用する際の注意点をご紹介します。

情報の真偽

1つ目は、生成された動画における情報の真偽確認が必要であることです。

AIは元データから学習して動画を生成しているだけで、情報の正誤判断はできません。

そのため正確性や信頼性の確保が難しく、逐一人間の目で確認する必要があります。

特に教育や報道などでの利用においては、慎重な検証と専門家の確認が不可欠です。

著作権

2つ目は、著作権や権利関係のリスク回避です。

生成されたコンテンツは前述の通り、元データの学習により生成されているにすぎません。

この元素材の著作権侵害のリスクを軽減するため、適切なライセンス管理と法的対応が重要です。

対策として、利用される素材の出展元の正確な記載や必要に応じた専門家との連携により、法的リスク軽減が求められます。

倫理的問題

3つ目は、倫理的な観点の問題の回避です。

動画生成AIは人の持つ繊細なニュアンスや感情を汲みとれません。

そのため、例えば人権などの倫理的基準に反するような内容も区別せずに動画が生成できてしまいます。

社会や個人への悪影響がないよう、都度の監視や適切なガイドラインの確立が必要です。

動画生成AIの今後

ここまで動画生成AIのさまざまな一面について紹介してきました。

デメリットや課題も多いものの、企業や個人が享受できるメリットはそれらの比にならないほど大きいものでしょう。

今後は生成される動画の精度向上や繊細なニュアンスのチューニングがさらに進み、将来はほとんどの動画がAIによって制作されることが見込まれます。

生活や仕事の中でどんどん活用をしていくことでこれまでとは異なる制作活動へのシフトをされていかれてはいかがでしょうか。

まとめ

本記事では、動画生成AIの仕組みやおすすめのサービス、注意点などについて解説しました。

動画生成AIは企業や個人にとって計り知れないメリットがある反面、権利問題やフェイク映像生成などの課題もあり、まだまだ開発途上の技術です。

これらの課題に対処し、AIの可能性を最大限に活用することが今後の動画制作業界の鍵となることは間違いありません。

本記事が動画生成AIについての理解を深める一助になりましたら幸いです。

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